2012年7月17日火曜日

♬♬ ラ・バヤデール        <La Bayadere> ♬♬

バレエ ストーリー[17]

 

✪ 初演 : 1877年2月4日 マリインスキー・バレエ

✪ 音楽 : レオン・ミンクス

✪ 構成 : 3幕

✪ 背景 : 古代インド

✪ 主な登場人物 : ニキヤ
          ソロル
          ガムザッティ
          大僧正

 

✪ ストーリー :

古代インド。戦士ソロルは寺院の舞姫(バヤデール)であるニキヤとひそかに愛し合っている。一方、大僧正もニキヤに強く惹かれている。
藩王は、若き英雄であるソロルを娘ガムザッティと結婚させようとする。ガムザッティはソロルに心惹かれ、また彼も美しいガムザッティに惹かれ、結婚を承諾してしまう。しかし大僧正が現れ藩王にニキヤとの関係を告げ口する。話を聞いていたガムザッティはニキヤを呼びつけるが対立。父娘で彼女を殺害しようと憎悪の念を燃やす。
ガムザッティとソロルの婚約式。ニキヤは舞姫として悲しげに舞うが、受け取った花籠に仕込んであった毒蛇に咬まれて倒れてしまう。大僧正が我が物となるなら助けると告げるが、ニキヤは拒んで息絶える。
「影の王国」。ニキヤを裏切った罪悪感からソロルはアヘンを吸って眠りに落ちる。幻覚の中でバヤデール達の中にニキヤを見出して、愛を誓う。
ソロルとガムザッティの結婚式。ニキヤの亡霊が現れ、寺院が崩壊。人々は息絶え、ニキヤとソロルは永遠の世界に昇っていく。


✪ みどころ :

①プティパの初期作品
②ロシアにおける題名は 『バヤデルカ』
③3幕の「影の王国」
 バレエ・ブランの名作、一糸乱れぬ群舞の美しさ

2012年7月15日日曜日

♬♬ 椿姫            <La Dame aux Camelias> ♬♬

バレエ ストーリー[16]

 

✪ 初演 : 1978年11月4日 シュツットガルト・バレエ

✪ 音楽 : フレデリック・ショパン

✪ 構成 : 3幕

✪ 背景 : フランスのパリ

✪ 主な登場人物 : マルグリット
          アルマン
          アルマンの父

 

✪ ストーリー :

亡くなった高級娼婦マルグリットの家財が競売にかけられている。そこへマルグリットの恋人であった青年アルマンが駆け込んでくる。彼は彼女の遺品を前に、彼女との日々を回想する。
アルマンは、パリの劇場でマルグリットに出会い、高嶺の花と分かりながらも心惹かれていく。マルグリットもいつしか彼の純粋さに惹かれ愛し合うようになる。しかし2人の関係を知ったアルマンの父がある日彼女を訪れ、息子と別れて欲しいと懇願する。マルグリットは悩みながらも彼のため、と身を引く。マルグリットの真意を知らないアルマンは、彼女の冷たさを恨み、復讐を決意する。マルグリットは持病が悪化する中、病をおして彼のもとを訪れ愛を交わすが、裏切られたと思い込んでいるアルマンは復讐をする。ショックでついにマルグリットは倒れてしまう。
回想をしていたアルマンは、マルグリットの侍女に彼女の日記を手渡される。そこには彼を想いながら死んでいった彼女の心情が綴られていて、彼は深い後悔の念に打ちのめされる。


✪ みどころ :

①群舞の美しさ
 2幕での友人達の踊りや、3幕での舞踏会の踊りなど
②グラン・パ・ド・ドゥはガラ公演の演目としても人気

2012年7月13日金曜日

♬♬ マノン<Manon> ♬♬

バレエ ストーリー[15]

 

✪ 初演 : 1974年3月7日 ロイヤル・バレエ

✪ 音楽 : ジュール・マスネ

✪ 構成 : 3幕

✪ 背景 : フランスのパリ

✪ 主な登場人物 : マノン
          デ・グリュー
          レスコー
          ムッシューG・M

 

✪ ストーリー :

美しい少女マノンは、若き学生デ・グリューと恋に落ちる。しかしマノンには野心家の兄レスコーがいて、彼の手引きによって老富豪ムッシューG・Mの愛人となってしまう。デ・グリューは、愛を捨て豪奢な生活を選んだマノンを説得するが、ある日レスコーはいかさま賭博が見つかって殺され、マノンは娼婦としてアメリカに流刑されてしまう。
ニューオルレアンの刑務所。美しい彼女はすぐに看守に目をつけられる。看守がマノンを口説いている所へ踏み込んでくるデ・グリュー。彼は看守を刺し殺し、マノンを連れて逃亡。
ルイジアナの沼地に迷い込んだ2人。そこで疲れ果てたマノンは倒れ、デ・グリューの腕の中で息絶えるのだった。


✪ みどころ :

①アベ・プレヴォーの小説『マノン・レスコー』を基にしたバレエストーリー
②主人公の波乱万丈の振付
 リフトや回転技で波乱万丈の感情を表現

2012年7月12日木曜日

♬♬ オネーギン<Onegin> ♬♬

バレエ ストーリー[14]

 

✪ 初演 : 1965年4月13日 シュツットガルト・バレエ

✪ 音楽 : ピョートル・チャイコフスキー

✪ 構成 : 3幕

✪ 背景 : ロシアの田舎町

✪ 主な登場人物 : タチヤーナ
          オネーギン
          オリガ
          レンスキー

 

✪ ストーリー :

ロシアの田舎町に、地味で本と空想が好きな娘タチヤーナが母と妹オリガと暮らしていた。ある日、オリガの婚約者レンスキーが連れてきた友人、黒尽くめで垢抜けたオネーギンに、タチヤーナは一目で夢中になる。その晩、タチヤーナは自分の想いを長文の手紙に綴る。
しかしオネーギンは拒絶。手紙を破り、退屈しのぎにオリガを誘惑。それを見たレンスキーは怒り、オネーギンと撃ち合いになるが撃たれ命を落としてしまう。
その後オネーギンは良心の呵責に悩み、海外を放浪する。タチヤーナは以前から求婚されていた公爵と結婚する。
そして数年後、2人は再会。侯爵夫人となりその教養と人柄で社交界の華となっていたタチヤーナを見てやっと自分の想いに気付いたオネーギンは、求愛の手紙を送るが、拒絶されてしまうのだった。


✪ みどころ :

①原作はオペラ
 有名なオペラ楽曲に頼らず、別の楽曲を用いている
②バレエらしからぬ主役の2人
 地味な田舎娘のタチヤーナ、黒尽くめの教養人のオネーギン

2012年7月11日水曜日

♬♬ ラ・フィーユ・マル・ガルデ  <La Fille mal gardee> ♬♬

バレエ ストーリー[13]

 

✪ 初演 : 1960年1月28日 ロイヤル・バレエ

✪ 音楽 : フェルディナン・エロルド

✪ 構成 : 2幕

✪ 背景 : フランスの田園

✪ 主な登場人物 : リーズ
          シモーヌ
          コーラス
          アラン

 

✪ ストーリー :

初秋フランスの農村に、愛らしく快活な娘リーズが母親シモーヌと暮らしていた。リーズはコーラスと愛し合っているが、シモーヌは裕福なアラン(ちょっと間抜けな息子)と結婚させたがっている。
ある雨の日、リーズはシモーヌの目を盗んでコーラスに会いに行こうとするが見つかり、ドアに鍵をかけられてしまう。鍵をポケットにしまったシモーヌは糸巻きを始めるが居眠りをしてしまい、2人は愛を語り合う。シモーヌが結婚のためアラン父子と公証人を呼びに行っいる間、リーズはコーラスとの幸せな生活を思い描き、それを見ていたコーラスが現れ、愛を誓う。そこへシモーヌ達が戻ってきて、見つかってしまう。しかし2人を見た公証人はコーラスとリーズこそ結婚させるべきだと諭し、ついにシモーヌは認める。
2人は皆に祝福されて結婚。アランはシモーヌの家に忍び込んで、なくしたと思っていたお気に入りの赤い傘を見つけてご機嫌で帰って行く。


✪ みどころ :

①元々は「ジゼル」と並び最古のバレエストーリー
②直訳は「監督不行き届きの娘」
③邦題は 『リーズの結婚』
④母シモーヌ役は男性
 リーズと真逆でドタバタの要素であるシモーヌ役は、基本的には男性が女装して踊る

2012年7月10日火曜日

♬♬ カルメン<Carmen> ♬♬

バレエ ストーリー[12]

 

✪ 初演 : 1949年2月21日 パリ・バレエ団

✪ 音楽 : ジョルジュ・ビゼー

✪ 構成 : 1幕

✪ 背景 : スペイン、セビリアの煙草工場

✪ 主な登場人物 : カルメン
          ドン・ホセ
          ミカエラ
          エスカミーリョ

 

✪ ストーリー :

セビリアの煙草工場。ジプシーの女工カルメンは事件を起こし牢に送られることになったのだが、護送を命じられた伍長ドン・ホセは、美しいカルメンに誘惑され彼女を逃がす。
カルメンの虜になったホセは、彼女のために殺人を犯し、軍を脱走し、ミカエラという婚約者も捨ててカルメンの属する盗賊の仲間に入る。
しかしホセがどんなに彼女を愛しても、奔放なカルメンはほどなく闘牛士エスカミーリョに心を移してしまう。嫉妬に狂ったホセは闘牛場でエスカミーリョと対決、カルメンと復縁を迫るが聞き入れられず、ついにカルメンを刺し殺してしまう。


✪ みどころ :

①小説→オペラ→バレエ
 1845年にフランスの作家が小説を発表、それをもとに1875年パリでオペラが初演、1949年その曲を使ってバレエが初演
②カルメンの衣装
 ドン・ホセを虜にするショートカットの衣装

2012年7月6日金曜日

♬♬ シンデレラ          <Cinderella> ♬♬

バレエ ストーリー[11]

 

✪ 初演 : 1948年12月23日 サドラーズ・ウェルズ・ロイヤル・バレエ

✪ 音楽 : セルゲイ・プロコフィエフ

✪ 構成 : 2幕

✪ 背景 : 暖炉のあるとある家

✪ 主な登場人物 : シンデレラ

          王子

          妖精

          義姉達

 

✪ ストーリー :

シンデレラの家。舞踏会の準備に忙しい義姉達。薄汚れた服を着たシンデレラは、義姉達にいつもいじめられながら、健気に働いていた。ある日、物乞いの老婆が現れ、義姉達が追い払う中シンデレラは自分のパンを分け与える。この老婆は実は妖精で、義姉達が舞踏会に出掛けて留守のすきにシンデレラのもとに再び現れ、シンデレラにドレスとかぼちゃの馬車をプレゼントし、舞踏会へ送り出す。時計が12時の鐘を打つ前に必ず戻るようにと忠告をして。
舞踏会に到着したシンデレラ。そのあまりの美しさに義姉達はシンデレラだと気づかない。王子は一目でシンデレラに心奪われ、ワルツを踊る。やがて時計が12時を打ち、シンデレラは慌てて走り去る。
シンデレラが落としたガラスの靴を手掛かりに王子は彼女を探し回る。シンデレラの家にやって来た王子は、そのみすぼらしい娘が舞踏会で出会った美しい姫であると気付く。妖精が現れ、2人を祝福する。


✪ みどころ :

①幅広い年代で楽しめる、ペローのおとぎ話を元にした作品
②脇役の見せ場が多い
 妖精、義姉達のソロなど見せ場が多い作品

2012年7月3日火曜日

♬♬ ロミオとジュリエット     <Romeo and Juliet> ♬♬

バレエ ストーリー[10]

 

✪ 初演 : 1940年1月11日 キーロフ・バレエ

✪ 音楽 : セルゲイ・プロコフィエフ

✪ 構成 : 3幕

✪ 背景 : イタリアの都市ヴェローナ

✪ 主な登場人物 : ロミオ

          ジュリエット

          マキューシオ

          神父ロレンツォ

 

✪ ストーリー :

ヴェローナにある2つの名家、モンタギュー家・キャピュレット家は代々憎しみ合い、衝突を繰り返していた。
そんな中、キャピュレット家の舞踏会に乗り込んだモンタギュー家のロミオは、キャピュレット家のジュリエットと恋に落ちる。2人は人目を忍んで会い、神父ロレンツォの元、秘密の結婚式を挙げる。
ところがある日、ジュリエットのいとこのティボルトの挑発に乗った、ロミオの親友マキューシオが殺されてしまう。それを見ていたロミオはティボルトを殺してしまう。
追放処分になったロミオは、ジュリエットと一夜を過ごし旅立っていく。ジュリエットは両親にパリスとの結婚を言い渡され、途方に暮れて神父ロレンツォのもとを訪れる。そこで死を装う薬を渡され、後で目覚めたらロミオと逃げるよう勧められる。仮死状態に陥ったジュリエット、彼女を見たロミオは死を信じてしまい、毒を飲んで命を絶つ。目覚めたジュリエットは毒を飲んだロミオを見て絶望、後を追って命を絶つ。


✪ みどころ :

①演出が50以上
 演出家に大人気のシェイクスピア戯曲
②喜びと悲しみの踊り
 バルコニーでの愛の喜びの踊り、死の嘆き悲しみの踊り

2012年6月30日土曜日

♬♬ 海賊<Le Corsaire> ♬♬

バレエ ストーリー[9]

 

✪ 初演 : 1856年1月23日 パリ・オペラ座

✪ 音楽 : アダン、プーニ他

✪ 構成 : 3幕

✪ 背景 : ギリシャの地中海(イオニア海)の浜辺

✪ 主な登場人物 : メドゥーラ

          首領コンラッド

 

✪ ストーリー :

嵐で難破した海賊達が、通りかかったギリシャの娘メドゥーラと友人達に助けられる。海賊の首領コンラッドとメドゥーラは心惹かれ合う。しかし突然現れたトルコ軍にメドゥーラ達は誘拐され、奴隷市場に売りに出されてしまう。どうにかコンラッドら海賊達は彼女達を助け出し、宴を開く。
メドゥーラの願いでコンラッドが彼女の友人達を故郷に帰すと聞いたコンラッドの部下は、反発。コンラッドは部下によって薬草で眠らされ、メドゥーラは奴隷商人に連れ去られる。
やがて目覚めたコンラッドはメドゥーラを助ける。部下の裏切りを知ったコンラッドは、仲間の海賊とメドゥーラを乗せて、再び海賊船を出帆する。


✪ みどころ :

①2幕での、メドゥーラと奴隷アリとのグラン・パ・ド・ドゥ
 主役でないアリの、男性の筋肉の美しさをアピールする美しい踊り
②スピーディーな場面展開
 スピーディーな展開が観やすい

♬♬ ライモンダ<Raymonda> ♬♬

バレエ ストーリー[8]

 

✪ 初演 : 1898年1月17日 マリインスキー・バレエ

✪ 音楽 : アレクサンドル・グラズノフ

✪ 構成 : 3幕

✪ 背景 : 中世フランスのプロヴァンス地方

✪ 主な登場人物 : ライモンダ

          ジャン・ド・ブリエンヌ
          ハンガリー王アンドレ二世

          アブデラフマン

✪ ストーリー :

ドリス伯爵夫人の姪である美女ライモンダは、婚約者のジャン・ド・ブリエンヌがハンガリー王アンドレ二世と共に十字軍に出征するのを見送る。
城で待っている彼女の元に、サラセンの王子アブデラフマンがやって来て求婚する。彼女は拒否するが、強引に誘拐されそうになる。そこへジャンが帰還。ハンガリー王はジャンとアブデラフマンを決闘させる。勝利したジャンとライモンダの結婚式が催される。


✪ みどころ :

①数多くの古典バレエの生みの親、振付師マリウス・プティパの最後の大作
②さまざまな国の民族舞踊
 サラセンの騎士団のスペイン舞踊やハンガリーの民族舞踊チャルダッシュなど

2012年6月27日水曜日

♬♬ コッペリア<Coppelia> ♬♬

バレエ ストーリー[7]

 

✪ 初演 : 1870年5月25日 パリ・オペラ座

✪ 音楽 : レオ・ドリーブ

✪ 構成 : 3幕

✪ 背景 : ポーランドの農村

✪ 主な登場人物 : 人形コッペリア

          職人コッペリウス
          スワニルダ

          フランツ

✪ ストーリー :

人形作り職人コッペリウスの家のバルコニーでは、彼の作った人形の少女、コッペリアが座って本を読んでいる。村娘スワニルダと恋人フランツは、コッペリアを人間だと思い込み、フランツは美しいコッペリアに浮気心を抱いてしまい、2人は大喧嘩。
ある時、コッペリウスの落とした家の鍵を見つけたスワニルダと友人達は、好奇心から彼の家に侵入する。
コッペリウスの家。室内には沢山の人形が並んでいる。コッペリアも人形だったと分かって安心したのもつかの間、コッペリウスが帰宅し、逃げ遅れたスワニルダは隠れる。そこへフランツがコッペリアに会いに窓から忍び込んでくる。彼を見つけたコッペリウスは、彼に眠り薬を飲ませ、彼から命を抜いてコッペリアに吹き込もうとする。しかしそれを見ていたスワニルダは、コッペリアになりすまして、コッペリウスをからかう。この騒ぎにフランツも目を覚まし、2人は仲直り。
2人の結婚式、機嫌を直したコッペリウスや友人達によって華やかな宴が催される。


✪ みどころ :

①2幕でのスワニルダの演技
 人形が魔法で人間になっていくふりをするスワニルダの演技
②3幕での余興
 「時」「曙」「祈り」「仕事」「結婚」「戦い」「平和」と名の付いた踊りが続く
③エンディングが2パターン
 コッペリアが本当に人間になるパターン
 宴の隅でコッペリウスが壊れたコッペリアを見つめるパターン

♬♬ ジゼル<Giselle> ♬♬

バレエ ストーリー[6]

 

✪ 初演 : 1841年6月28日 パリ・オペラ座

✪ 音楽 : アドルフ・アダン

✪ 構成 : 2幕

✪ 背景 : ドイツの農村

✪ 主な登場人物 : ジゼル

          アルブレヒト
          森番ヒラリオン

          精霊の女王ミルタ

✪ ストーリー :

とある農村に病弱だが踊りの好きな娘ジゼルが母親と住んでいた。アルブレヒトは貴族である身分を隠し、名をロイスと偽って彼女との恋を楽しんでいた。
ある日、アルブレヒトの婚約者バティルドの一行が村に立ち寄る。そこで、ジゼルに恋する森番ヒラリオンは、貴族であるアルブレヒトの正体を暴く。バティルドの手にキスをするアルブレヒトを見たジゼルは狂乱状態に陥り、息絶えてしまう。
森の墓場。結婚を前に亡くなった乙女達の精霊・ウィリが集まる場所。ジゼルはウィリの女王ミルタによって仲間に迎え入れられる。ウィリ達は夜中に迷い込んできた人間や裏切った男を死ぬまで踊らせる、という伝説があった。許しを請いにやってきたヒラリオンは、捕らえられ踊らされ、死の沼に突き落とされる。次にやって来たアルブレヒトも捕らえられ踊らされるが、ジゼルはミルタに彼の命乞いをし、彼は助かりジゼルの魂は静かに昇天していく。


✪ みどころ :

①バレエ・ブラン(白のバレエ)の1つ
②主人公が死装束で踊る唯一のバレエ作品、ロマンティック・バレエの代表作
③1幕「昼間の森」と2幕「夜の異次元空間」という対照的な表現

2012年6月25日月曜日

♬♬ ラ・シルフィード       <La Sylphide> ♬♬

バレエ ストーリー[5]

 

✪ 初演 : 1832年3月12日 パリ・オペラ座

✪ 音楽 : ジャン・シュナイツホーファ

✪ 構成 : 2幕

✪ 背景 : スコットランドの農村

✪ 主な登場人物 : 空気の精シルフィード

          ジェイムズ
          エフィ

          占い師マッジ

✪ ストーリー :

スコットランドの農村。婚約者エフィとの結婚式を控えたジェイムズの前に、彼を愛する空気の精シルフィードが現れる。シルフィードの踊りにすっかり心を奪われたジェイムズは、友人たちが結婚の祝福に訪れるがうわの空。占い師マッジは「エフィを幸せにするのはジェイムズではなくグエンである」と言い、エフィを愛するグエンは期待を寄せる。
結婚式当日、結婚を知って悲しむシルフィードが現れ、指輪を奪い去り、ジェイムズも彼女を追って森へ行く。
森の中、ジェイムズは肩にかけると永遠に彼のものになるというショールをマッジからもらい、シルフィードの肩にかける。しかしそれは呪いのショールであった。シルフィードの背中の羽が抜け落ち、彼女は息絶える。遠くでエフィとグエンの結婚式の鐘が鳴り、全てを失ったジェイムズは嘆き息絶える。


✪ みどころ :

①バレエ・ブラン(白のバレエ)の1つ
②「妖精⇔人間」の恋と破滅を描いたロマンティック・バレエの代表作
③伝説のマリー・タリオーニ
 初演でシルフィードを演じたマリー・タリオーニは、まだ初期だったポワントを駆使して妖精を踊りきり伝説のバレリーナとなった
④空気の精シルフィード
 シルフィードが表現する、人間に恋する妖精の可憐さ

2012年6月22日金曜日

♬♬ ドン・キホーテ        <Don Quixote> ♬♬

バレエ ストーリー[4]

 

✪ 初演 : 1869年12月26日 ボリショイ・バレエ

✪ 音楽 : レオン・ミンクス

✪ 構成 : 3幕

✪ 背景 : スペイン

✪ 主な登場人物 : ドン・キホーテ

          ドゥルシネア姫
          キトリ

          バジル

✪ ストーリー :

スペインのとある村に貧しい郷士が住んでいた。彼は騎士道小説を読みふける内に現実と空想の区別がつかなくなり、自らをドン・キホーテと名乗って物語の中に出てきたドゥルシネア姫を探す旅に出た。
舞台はバルセロナの市場。床屋の息子バジルと宿屋の娘キトリは愛し合っているが、父親は2人の仲を許してくれない。そこへドン・キホーテがやって来て、キトリをドゥルシネア姫と思い込んでしまう。
市場の騒動の合間にバジルとキトリは駆け落ちし、2人を追いかけてドン・キホーテもジプシーの野営地にたどりつく。ジプシーによる人形劇が催されるが、ドン・キホーテは人形劇に登場する悪者を敵と勘違いし、風車を敵と信じて突撃、意識を失う。夢の中でドゥルシネア姫に会う。
結婚を認められたキトリとバジルの結婚式が行われ、ドン・キホーテはドゥルシネア姫を探してまた旅に出る。


✪ みどころ :

①主役のキトリとバジル
 キトリ:原作とは異なり、バレエの主役はキトリ
 バジル:多くの古典作品では女性の後ろにいる男性が華やかなスポットライトを浴びる大役
②バレエコンクールやガラなどで人気

 キトリとバジルのグラン・パ・ド・ドゥや、キトリのヴァリアシオンなど

2012年6月21日木曜日

♬♬ くるみ割り人形        <The Nutcracker> ♬♬

バレエ ストーリー[3]

 

✪ 初演 : 1892年12月18日マリインスキー・バレエ

✪ 音楽 : ピョートル・チャイコフスキー

✪ 構成 : 2幕

✪ 背景 : ドイツのシュタールバウム家

✪ 主な登場人物 : 少女クララ

          くるみ割り人形
          ねずみの王様
          お菓子の精達

✪ ストーリー :

クリスマス・イブの夜、ドイツのシュタールバウム家ではパーティーが行われている。少女クララはクリスマスプレゼントにくるみ割り人形をプレゼントされる。
その夜更け、クララはクリスマスツリーの所に置き忘れたくるみ割り人形を見に来る。すると時計の針が12時を打ち、あたりの様子は一変。ツリーはみるみる大きくなり、ねずみの大群とくるみ割り人形率いるおもちゃの兵隊が戦い始める。クララは自分のスリッパをねずみの王様に投げつけくるみ割り人形を助ける。美しい王子に変身したくるみ割り人形は、クララに感謝し、自分の国であるお菓子の国へ案内する。
お菓子の国に着いたクララは、金平糖の精やお菓子の精達に歓迎される。さまざまな踊りが繰り広げられるが、夢のような時間は終わり、クララはツリーの足下で目を覚ます。


✪ みどころ :

①3大バレエの1つ
②多くの演出がある作品
 少女が演じるクララ役、大人が演じるクララ役、バレエ学校の生徒という設定のクララ役・・

2012年6月20日水曜日

♬♬ 眠れる森の美女        <The Sleeping Beauty> ♬♬

バレエ ストーリー[2]

 

✪ 初演 : 1890年1月16日 マリインスキー・バレエ

✪ 音楽 : ピョートル・チャイコフスキー

✪ 構成 : プロローグ付3幕

✪ 背景 : ルイ14世時代のフランスの王宮

✪ 主な登場人物 : オーロラ姫

          デジレ王子
          悪の精カラボス
          リラの精

✪ ストーリー :

フロレスタン王の娘、オーロラ姫の誕生により行われた洗礼式で、妖精達が次々と授け物をしている。その時、祝宴に招待されず怒った悪の精カラボスがやって来て、「姫は16歳の誕生日に糸紡ぎの針に指を刺されて死ぬ」と呪いをかける。しかしリラの精が、「死ぬのではなく100年の眠りにつくだけ。王子のくちづけで眠りから覚める」と新たな魔法をかけてくれる。
やがてオーロラ姫は成長して16歳の誕生日を迎え、祝宴が催される。その最中、老婆が姫にそっと花束を渡す。素直に受け取った姫は中に仕掛けてあった針で指を刺してしまう。正体を現したカラボスはあざ笑いながら消えていく。そこに現れたリラの精は、姫と一緒に目を覚ますよう城にいた全員に眠りの魔法をかける。
100年が過ぎ、目の前に現れたリラの精にオーロラ姫の幻を見せられたデジレ王子は、その美しさの虜になり、城へ行って姫にくちづけをする。すると姫も城にいた全員も目を覚ます。
2人の結婚式には、さまざまな童話の主人公や妖精が招かれ、華麗なダンスが次々に踊られる。


✪ みどころ :

①3大バレエの1つ
②バレエの中で最も豪華な作品
 上演には多額の費用と実力のあるダンサーが必須

③童話の主人公の踊り
 第3幕、長靴をはいた猫や赤ずきん、青い鳥など

♬♬ 白鳥の湖<Swan Lake> ♬♬

バレエ ストーリー[1]

 

✪ 初演 : 1895年1月27日 マリインスキー・バレエ

✪ 音楽 : ピョートル・チャイコフスキー

✪ 構成 : 4幕

✪ 背景 : とある国の王宮

✪ 主な登場人物 : ジークフリート王子

          オデット
          オディール
          悪魔ロットバルト

✪ ストーリー :

とある国の王子ジークフリートは、宴の最中に母親である王妃に、翌日の舞踏会で妃になる女性を見つけるよう言われる。思いをめぐらせながら夕空を見上げていると、白鳥の群れが飛んでいく。その先の湖へ行ってみると、突然1羽の白鳥が王子の前で美しい娘に変わる。彼女はオデットといい、悪魔ロットバルトの呪いで白鳥に変えられていたのだった。男性が愛を誓ってくれれば呪いは解けるが、もしその誓いが破られれば永遠に白鳥でいなければならない。王子は愛を誓うと約束する。
翌日の舞踏会に、フォン・ロットバルト男爵と名乗る男が娘のオディールを連れてやってくる。黒いドレスのオディールはオデットに瓜二つであった。王子はオデットだと信じて愛を誓う。すると正体を現した悪魔と娘は外に居るオデットを指しあざ笑いながら消えていく。
慌ててオデットを追いかけた王子は心から謝るが、ロットバルトがまた現れ・・オデット、王子と続けて湖に身を投げる。
愛の力でロットバルトは滅び、2人の魂は永遠の世界で結ばれる。


✪ みどころ :

①3大バレエの1つ
②エンディングが2パターン
 2人が湖に身を投げる「悲劇型」

 悪魔を倒して現世で結ばれる「ハッピーエンド型」
③たいていオデット役とオディール役は1人のバレリーナが演じる
 清楚なオデット⇔妖艶な悪女オディールという正反対の役柄
④32回のグラン・フェッテ・アン・トゥールナン
 
第3幕、黒鳥オディールによる見せ場